『住み開き 増補版』アサダワタル(ちくま文庫 )2020年
もう一つのコミュニティづくり
住み開きという「ふるまい」
個人宅をちょっとだけ開くことで小さなコミュニティが生まれ、
自分の仕事や趣味の活動が他者へと自然にかつ確実に共有されていくのだ。
そこでは、無論、金の縁ではなく、血縁でもなく、もはや地縁でも会社の縁でもない、
それらが有機的に絡み合う「第三の縁」が結ばれているのだ。
p16
こういった活動を著者は『住み開き』と名付け、
お金に還元されない役割として、自らフラットな空間づくりをしている人々を紹介しています。
それはお店や公共施設とは違い、かなり自由度の高いもので、決まった形のない、表現方法の一種として提示されています。
実際に本書で紹介されている人々も、多種多様です。
シェアハウス『まれびとハウス』、自宅ライブラリー『少女まんが館』、
自宅水族館『雑魚寝館』、自宅図書館『ぶんぶん文庫』など、
シェアハウス系、博物館系など、基本的に人が集まる場所として設計されていますが、
それぞれ、そこで住む人達の生活に合った形態で運営されています。
日常性が高いと、来た人は住民・参加者のままでいることができて、
空間の非日常性が高まると、参加者は、よりお客らしく、
住民は、よりスタッフらしくふるまうといいます。
住み開きの面白さは、このように居合わせる人たちが自らの「ふるまい」に対して
自覚的になってゆくことにある。
p65
こうした、ふるまいのデザイン、もてなし方の難しさにも触れられています。
僕はアートというのは、ここで語られている「不確実性」だったり
「無目的な感じ」を、笑って楽しめる力を持っていると心底思っているのだ。
p68
既存の枠組みを再編集・再構築することで、今まで当たり前に思っていたことが、
実はあまり当たり前ではないということがわかったりします。
気づきや発見があることで、新たなる未知のアクションへと駆り立てる。
そんなきっかけや、可能性を秘めた一冊です。

住み開き 増補版 もう一つのコミュニティづくり (ちくま文庫 あー63-1) [ アサダ ワタル ]
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